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Bombus affinis

Bombus affinis

記録された一般名なし

CR絶滅危惧IA類
黒い体毛で覆われ、翅の付け根近くに黄色と黒の毛が混じるV字模様があり、腹部第2節の基部に赤褐色の斑紋を持つマルハナバチの働きバチ写真: Michelle Orcutt、CC BY

ひと目でわかる

主な特徴
湿地森林冬眠縄張り性草原都市
分類
門
Arthropoda
綱
Insecta
目
Hymenoptera
科
Apidae
属
Bombus
種
Bombus affinis

2017年1月10日、Bombus affinisはアメリカ本土で初めて絶滅危惧種に指定されたハチとなりました。かつて北米東部から中西部にかけて広く分布していたこのマルハナバチは、現在では歴史的な生息域の87%で姿を消しています。

本種はハチ目ミツバチ科に属する昆虫で、カナダ南部オンタリオ州・ケベック州から米国東部・中西部を経て南はジョージア州、西はダコタ州まで分布していました。IUCNレッドリストでは「近絶滅種(Critically Endangered)」に分類されています。

地下や小動物の廃巣に営巣し、電場を感知する特殊な感覚器官を持つなど、その生態は他のマルハナバチと比べても独特です。急速な個体数減少の背景を知ることは、北米の生態系を支えるハナバチ全体の未来を考える手がかりになります。

識別と外見

最も分かりやすい特徴は、働きバチとオスの腹部第2節基部にある赤褐色の斑紋です。この「サビ色の斑」が本種の名前の由来にもなっていますが、女王バチにはこの斑紋がありません。

女王バチは体長2022mm、体幅911mmで、働きバチ(体長1016mm、体幅69mm)より明らかに大きくなります。オスは体長13~17.5mmで、働きバチよりわずかに大きめです。

女王バチと働きバチはともに、頭部・脚の大部分・腹部下面が黒い毛で覆われています。腹部基部の2節を除く大部分にも黒い毛が生えています。働きバチでは翅の付け根付近に黄色と黒の毛が混じり、「V」字状の模様を作ります。オスは頭頂部にわずかに白っぽい毛があり、腹部は黄色を基調としながら黒い縞が入ることがあり、時に淡黄色の毛で覆われることもあります。

ふっくらとした体型と大きさから、Bombus citrinus、Bombus griseocollis、Bombus perplexus、Bombus vagansといった他のマルハナバチ種とよく混同されます。ただし本種は他のどのマルハナバチよりも舌が短いという特徴があり、これも識別の手がかりになります。

分布と生息地

Bombus affinisは北米東部に分布し、カナダのオンタリオ州南部・ケベック州から、米国の中西部・北東部を経て南はジョージア州・アラバマ州、西はダコタ州まで生息していました。混農地、砂丘、湿地、都市部や森林地帯まで幅広い環境で採集されており、生息地に対する要求は比較的柔軟です。ただし、採食・営巣・越冬という3種類の異なる生息環境が互いに近接している必要があり、これが本種を絶滅の危機に対して特に脆弱にしています。

巣はシマリスやリス、ネズミ類など小型哺乳類が使わなくなった地下の巣穴を利用してつくられることが多く、地表から最大1.2mの深さに達します。ハチ自身が直径2~6cmの出入り口を掘ります。都市部や郊外では、草むらや住宅の基礎部分に営巣した例も報告されています。越冬中の女王バチは、森林と草原の境界域にある落葉の下や倒木の中など、浅い穴に身を潜めます。

生息地の劣化はすでに深刻です。ミネソタ州で行われた2019年の調査では、巣の周囲1km以内の土地利用が75~100%開発地であったと報告されています。オハイオ州では巣の約60%が森林保護区や公園内にありますが、残り40%は路肩や住宅地、ゴルフ場のような人工的な草地に分布しています。1980年代までオンタリオ州南部で一般的だった本種は、2009年にピナリー州立公園で確認されたのを最後に、同州での確実な記録が途絶えています。イリノイ州のベル・ボウル・プレーリーも本種の既知の生息地でしたが、2023年3月にシカゴ・ロックフォード国際空港の拡張のため一部が破壊されました。

GBIFの月別観察記録では、観察数は7月から8月にかけて大きく増加し、8月に最多(5,755件)を記録しています。これは本種の活動が盛んな時期を示す目安にすぎず、個体数や生息範囲そのものを表すものではない点に注意が必要です。

Bombus affinisの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
5,755
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

行動と暮らし

Bombus affinisは真社会性昆虫で、通常は1匹の女王バチと多数の働きバチ、そして活動期後半に生まれる新女王(ジン)とオス(ドローン)から成るコロニーを形成します。しかしコロニーが大きくなると、働きバチが女王の産卵権を巡って争うようになることがあります。小規模なコロニーでは、働きバチが産卵中の女王の脚や体に噛みつくなど攻撃的な行動をとる例も報告されています。女王が予期せず死亡すると、産卵を抑制するフェロモンが失われ、働きバチ同士が後脚で立ち上がり大顎と前脚で組み合って優位性を争い、勝者が産卵を始めます。ただし働きバチは交尾をしないため、産む卵はすべて未受精卵で、オスしか生まれません。

活動は気温に大きく左右されます。おおむね3月15日から10月10日まで活動しますが、北緯42度以北の寒冷な地域では4月10日から10月10日までとやや短くなります。厚い体毛のおかげで他の花粉媒介者より低温に強く、気温4℃程度でも早朝や夕暮れに活動する姿が確認されていますが、雨天・濃霧・凍結時には飛翔しません。秋に採食活動をやめるのは、気温の低下そのものではなく、餌となる花が枯れて資源が減ることが主な理由です。

働きバチの採食圏は巣を中心に平均約1km²ですが、コロニー全体の行動範囲は最大10km²に及ぶこともあります。他のハチ目の昆虫、例えばミツバチやスズメバチ、アリなどと比べるとBombus affinisは概して温和で攻撃性が低く、捕食者などによって巣を直接脅かされたときに限って、巣の周囲のみを防衛します。

コミュニケーション

Bombus affinisは視覚・化学物質・触覚に加え、電場も利用して周囲の状況を把握します。飛翔中に正に帯電した体で地面など負に帯電した物体に近づくと、頭部の細い毛(繊毛)がその電場を検知します。これにより、静止した物体の形や大きさまで判別できると考えられています。繊毛は3.8kHzという低い周波数の微弱な電流や空気の振動も感知でき、触角基部にあるジョンストン器官は空気中の振動、いわば「音」を捉える役割を果たします。

視覚は2つの大きな複眼(各約6,000個の個眼で構成)と3つの単眼で構成され、青・緑・紫外線を認識できますが赤色は認識できません。この色覚の限界から、青や紫の花を好んで訪れる傾向があります。花の表面には紫外線を反射する「ネクターガイド」と呼ばれる模様があり、蜜や花粉のある場所へ導く標識として機能します。

化学的なコミュニケーションも重要です。花が放出する揮発性有機化合物(VOC)は採食に適した花かどうかを伝える信号となり、例えば化合物ゲラニオールは食料が乏しいときに働きバチの外出採食を促します。個体同士も脚の分泌腺からフェロモンの跡を残し、巣の入り口や花畑、交尾の場所を示します。繁殖期にはオスが特定の飛行路にフェロモンを付け、目立つ目印(大木や切り株、岩など)である「ブンブン場所」を繰り返し訪れます。新女王はこのフェロモンの跡をたどってその場所で待ち、自らも大顎腺から性フェロモンを放出してオスを呼び寄せます。コロニー内では、産卵能力のない働きバチが不妊であることを化学的に示して女王との争いを避け、女王自身も高濃度の分泌物で働きバチの妊性を抑えています。

食性と採食行動

Bombus affinisは花の蜜と花粉のみで生きており、蜜からは炭水化物を、花粉からは脂質とタンパク質を得ています。舌の長さは平均5~6mmと短く、他の多くのマルハナバチのように長く細い筒状花から蜜を吸うことができません。そのため、皿状に開いた浅い花を中心に利用します。糖分の多い花や、花粉のタンパク質・脂質比が適した花を選んで訪れることも知られています。

採食対象はバージニアブルーベル(Mertensia virginica)、オダマキ属(Aquilegia)、ヤグルマハッカ属(Monarda)、ナス属(Solanum)、カワミドリ属(Agastache)、トウワタ属(Asclepias)、シナガワハギ属(Melilotus)、ノゲシ属(Sonchus)、ハルシャギク属(Coreopsis)、コマクサ属(Dicentra)、ヒマワリ属(Helianthus)、ヤナギ属(Salix)、キク科、マメ科など、多岐にわたる野生の花です。

同時に、トマト(Solanum lycopersicum)、スグリ属(Ribes)、クランベリーやブルーベリー(Vaccinium属)、トウガラシ属(Capsicum)、サクラ属の果樹(Prunus)、カボチャ属(Cucurbita)といった商業的に重要な作物の花も訪れ、在来種・外来種を問わず幅広く花粉を運ぶ「花の一般食い」として機能しています。花粉から得るタンパク質量はコロニーが育てられる新女王の数を直接左右するため、花の多様性に富んだ環境ほど繁殖に有利になります。

採食期間は4月から9月までと、他のマルハナバチよりも長めです。早春には女王バチ自身が巣から1km以内にある一時的な春の野草を訪れて単独で採食し、その後は働きバチが交代でコロニー全体の分の蜜と花粉を集め、巣の中の蝋の部屋に貯蔵します。

繁殖と生活史

Bombus affinisは一年に一度だけ繁殖する一回繁殖性の昆虫で、単婚性です。晩秋から早春にかけて女王バチは単独で過ごし、春から夏にかけて真社会性のコロニーを形成します。7月下旬から10月にかけて、新女王(ジン)とオス(ドローン)は求愛の飛行や交尾飛行を経て、他のコロニー出身の相手と交尾します。交尾を終えたオスはほどなく死に、新女王は精子を貯精囊に蓄えたまま冬眠に入ります。

越冬から目覚めた新女王は3月中旬ごろから活動を始め、巣の場所を探して蜜と花粉を蓄え、貯えた精子を使って最初の卵を産みます。産卵数は1シーズンあたり501,000個、平均500個ほどです。卵は産下から約2日で幼虫となり、約2週間蜜と花粉を与えられて育ち、その後約2週間の蛹期を経て成虫になります。卵から成虫までは条件により46週間かかり、巣内の理想的な温度は2932℃、湿度は5065%です。働きバチになる個体は、新女王やオスになる個体より発育が平均4日ほど短くなります。

女王バチは最初のブルード(第一世代)に対しては採食や巣の維持まで手厚く世話をしますが、この世代が育つと以降のブルードには産卵以外の世話をしません。育った働きバチが交代で採食や幼虫の世話を担うようになります。オスは交尾以外に子育てへの貢献をしません。

コロニー全体の寿命は環境条件によって4~5か月ほどです。気温が下がる秋にはオスと働きバチが次々に死に、冬を越すのは新女王だけです。女王バチの平均寿命は約77日とされています。

個体数と生態的役割

IUCNによれば、Bombus affinisの個体数は1990年代から2010年代の間に92.54%減少しました。花粉と蜜を求めて訪れる過程で在来植物や作物を広く受粉させる一方、ゴールデンロッドクラブグモ(Misumena vatia)やハナバチ狩りバチ(Philanthus属)などの捕食者にとっては貴重な餌資源にもなっています。

コロニーは絶対社会寄生種であるカッコウマルハナバチ(Bombus bohemicus、旧名Bombus ashtoni)にしばしば寄生されます。この寄生バチのメスは匂いを頼りにBombus affinisの巣を探し出し、在来の女王を殺して自ら産卵し、居残った働きバチに自分の子を育てさせます。働きバチの数が少ない小規模な巣ほど侵入されやすい傾向があります。これに対しBombus affinisは、寄生者の卵を食べたり幼虫を巣外へ排除したりして抵抗する行動も確認されています。

保全と脅威

Bombus affinisはIUCNレッドリストで「近絶滅種(Critically Endangered)」、米国連邦法では「絶滅危惧種(Endangered)」、ミシガン州でも「絶滅危惧種」に指定されています。2017年1月10日、米国魚類野生生物局が本種を絶滅危惧種としたことで、アメリカ本土で初めて連邦指定を受けたハチとなりました。一方、CITESでは特別な指定を受けていません。

最大の脅威は都市化と生息地の分断です。舗装面や人工構造物の割合が増えるほど、巣の密度が下がることが報告されています。次いで、放牧・単一作物栽培・農薬使用を含む農業的な土地利用も大きな圧力となっています。放牧される牛や羊は土壌を踏み固め、在来植物を食べ、営巣地を踏みつけます。単一栽培の農地は開花期間が短く、必要な花の多様性を提供できません。農薬は採食中の直接中毒だけでなく、地下水や酸性雨を通じて巣にも影響を及ぼします。気候変動もまた、干ばつや洪水、極端な気温の増加を通じて採食を難しくし、秋や春の霜の時期がずれることで、休眠の開始や終了のタイミングを狂わせています。

現在、生息地の分断されていない環境を復元する保護活動や、危険な農薬の使用を制限する動きが進められています。プレーリーや草原を再生するための計画的な野焼きも、有効な手段として検討されています。

保全状況

  1. LC
  2. NT
  3. VU
  4. EN
  5. CR

絶滅危惧IA類

文化的意義

Bombus affinisは野生植物だけでなく、農業的にも重要な受粉者です。花粉と蜜の摂取量の推定12%をマメ科植物から得ており、トマト、スグリ、クランベリーやブルーベリー、トウガラシ、サクラ属の果樹、カボチャ類など、多くの商業作物の受粉を担っています。

在来種・外来種を問わず幅広い植物を無差別に受粉するその性質は、地域の農業経済にも直接的な恩恵をもたらしており、本種の存在は生態系サービスとしての価値を通じて人間社会と結びついています。

豆知識

  1. ある巣は、屋外に放置された古いアームチェアの中で見つかったことがあります。
  2. 標高1,600mの高地でも記録されており、通常の生息環境よりもかなり高い場所まで分布することがあります。
  3. 1980年代までは、オンタリオ州南部で最もよく見られるマルハナバチの一種でしたが、現在ではほとんど見られなくなっています。
  4. 成功したコロニーは、真夏には数百匹規模まで成長することがあります。
  5. カナダでは2010年4月、シーラ・コラらの研究によって本種が絶滅危惧種と評価されました。

生態

生息地

  • 湿地
  • 森林
  • 草原
  • 都市

行動

  • 冬眠
  • 縄張り性
  • 社会性
  • 昼行性

食性

  • 花蜜食性

写真

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黒い体毛で覆われ、翅の付け根近くに黄色と黒の毛が混じるV字模様があり、腹部第2節の基部に赤褐色の斑紋を持つマルハナバチの働きバチ写真: Michelle Orcutt、CC BY

出典GBIFiNaturalistWikidataWikipediaEncyclopedia of LifeAnimal Diversity Web