北米で唯一の水生のスズメ目の鳥は、流れの速い冷たい渓流を生活の場にしています。体は灰色で、水の中で暮らすことに適した独特の姿をしています。
体重はほどで、野生での寿命は最長でに達することがあります。分布域はにおよび、アラスカからパナマまで広がっています。
国際的な評価では「軽度懸念」とされ、絶滅の危険は小さいと判断されています。水辺の環境を映す役割もあり、流れの中で暮らす独特の生活様式が、この種の大きな特徴です。
識別と外見
目のまわりの白い羽毛が最も分かりやすい特徴です。まぶたの白い羽毛は瞬きのたびに白く光るように見え、遠くからでも目立ちます。
全体は灰色で、頭部はやや茶色みを帯びることがあります。全長は16.5 cm、翼を広げた幅は23 cmほどで、がっしりとした体つきをしています。
よく似た近縁種はヨーロッパにいる Cinclus cinclus で、生態もほぼ同じです。北米で見かける灰色の水辺の鳥であれば、まず本種を疑ってよいでしょう。
分布と生息地
北米の山岳地帯を中心に、アラスカからパナマまで広がっています。通常は一年中同じ地域にすむ留鳥ですが、食べ物や凍らない水を求めて、わずかに南へ移動したり低地へ下りたりすることがあります。
生息地は、流れが速く、澄んで冷たい永続的な渓流です。大きな岩や激しく流れ落ちる滝、切り立った崖やへりが多い場所を好みます。滝の裏や岩棚は巣の場所として使われ、人工の暗渠、橋、小さなダムにも巣を作ります。澄んだ湖や池に流れ込む場所では、湖畔の縁で採食することもあります。
標高は、中部と北部の海岸沿いの海抜0メートルから、中部シエラネバダでは約2,700メートル以上、カリフォルニアのホワイト山地では約3,000メートルまでです。まれに約3,600メートルを超えて移動する個体もいます。
確認されることが多いのは6月前後で、ほかの月より目立つ傾向があります。

行動と暮らし
水辺で採食するときは、水に飛び込むか、川底を歩いて餌を探します。水中で約6メートルまで潜ることができ、流れに逆らって川底を進みます。
縄張りは川に沿った細長い帯状です。つがいになった個体は、縄張りに侵入してきたほかの個体を追い払います。
一部の個体は、捕まえた餌を洗ってから雛に与えることが観察されています。雛の食べ物を清潔に保つための行動と考えられています。
コミュニケーション
メキシコカワガラスは、視覚、触覚、音声、化学的な感覚の四つの経路で周囲の情報を受け取ることが分かっています。
水中で川底を歩くときは、足や体に伝わる触覚が重要な手がかりになります。音声は、仲間との距離や縄張りのやり取りに関わっています。
食性と栄養
食べ物の中心は、淡水にすむ無脊椎動物で、特に水生昆虫の幼虫が多く含まれます。川底の石の裏などにいる幼虫を探して食べます。
ごく小さな魚も食べます。ときには小さな水生植物も口にすることがあり、動物質の食べ物を中心にした肉食性の鳥です。
営巣と繁殖
求愛では、雄が首を上に伸ばし、くちばしを垂直に立て、翼を少し広げて下げた姿勢をとります。雌の前で胸を張って歩き、さえずります。雌が応じると、二羽は並んで鳴き、最後に胸を合わせて終わります。
巣は球形で、横に入口があります。水辺の岩棚や川岸、滝の裏、橋の下などに作られ、流れのしぶきが届く場所が選ばれます。
一腹の卵は通常2〜4個で、白い色をしています。卵の大きさは26 mm×19 mmほどです。抱卵は雌だけが行い、約15〜17日で孵化します。
雛が巣立つまでは、およそ20〜25日かかります。雄も巣に餌を運び、雛の世話を分担します。
個体数と生態的役割
水生昆虫の幼虫やカエルの幼生を食べるため、流れの中の生き物の循環に関わっています。ほかの生き物の餌にもなり、水辺の食物網の一部を担っています。
カワマスなどのマス類の大型の魚に捕食されることもあります。流れの中では、大型の魚も重要な捕食者の一つです。
寄生虫もよく見られます。条虫類、吸虫類、鉤頭虫類が主な寄生虫で、いずれも体の中に住み着きます。
保全と脅威
国際的な評価は「軽度懸念」で、絶滅の危険は小さいと判断されています。広い分布域と多くの生息地があることが、その理由の一つです。
主な脅威は、水質の悪化と、川に流れ込む土砂の増加です。汚染や土砂の多い川では姿を消した地域もあり、水辺の環境を守ることが重要です。
この鳥がいることは良好な水質の目安になるため、本種の存在は川の健康状態を映しています。川の環境を守ることが、本種の保全に直結します。
文化的意義
英語圏では、水辺の鳥を表す別名で呼ばれています。日本語のメキシコカワガラスという名前は、北米の水辺に暮らすこの鳥の特徴を示しています。
名前の由来になったのは、体を上下に繰り返し揺らす仕草です。この動きは、流れの中の岩の上で目立つ特徴として知られています。
豆知識
- 1827年、イギリスの動物学者ウィリアム・スウェインソンがこの種を記載し、学名を付けました。最初の標本は、同じくイギリスの博物学者ウィリアム・ブロックによってメキシコで採集されたものです。
- 水辺から離れて暮らすことはほとんどなく、生活のほとんどを川や湖の周囲で過ごします。
写真
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生態と分類
分類
- 門
- Chordata
- 綱
- Aves
- 目
- Passeriformes
- 科
- Cinclidae
- 属
- Cinclus
- 種
- Cinclus mexicanus
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- Animal Diversity Web Animal habitat, behavior and diet
- AnAge Longevity
- AVONET Bird mass, habitat, migration, diet and range size
- GloBI What it eats, what eats it, parasites and pollinators
- HWML Parasite Collection



