ハマエンドウの種子は、海水に最長5年浮いても発芽する力を保ちます。このため海流に乗って世界の広い範囲へ運ばれ、自然の分布域がきわめて広くなりました。
ハマエンドウは、マメ科レンリソウ属の多年草です。北半球の温帯の海岸に自生し、アルゼンチンにも分布しています。国際自然保護連合の評価では「低懸念」とされています。
砂浜や小石の海岸という厳しい環境で育つ、紫色の花が美しい海辺の植物です。その生き方を知ると、海岸の植生の見方が変わるでしょう。
識別と外見
最も目立つ特徴は、紫色の花です。花は咲き進むにつれて青みを帯びていきます。
茎は長さ15〜30cmで、垂れ気味にしなだれます。翼はなく、多くは毛がありません。
葉は互生し、灰色がかった緑色で、やや多肉質です。葉柄はほとんどなく、大きく幅の広い托葉がつきます。小葉は3〜5対あり、細い披針形で先は鈍く、縁は滑らかです。先端には巻きひげがあります。
花は花序に5〜12個つき、長さは14〜20mmです。花びらは旗弁、二枚の翼弁、癒合した舟弁からなるエンドウ型です。果実は長さ最大50mmの茶色い豆果です。
分布と生息地
ハマエンドウは、ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、南アメリカの温帯地域に自生しています。日本のほか、朝鮮半島、千島列島、サハリン、アラスカ、グリーンランド、アイスランドなど、北方から南方までの広い範囲に分布します。
典型的な生息地は、砂浜や小石の多い海岸など、海に面した沿岸です。
種子は海水に浮いても生き残り、波が硬い種皮を削ると砂や小石の上で発芽します。この性質が、分布域を広げる大きな要因になっています。
自生域の外では、チリ中部に持ち込まれた例が知られています。夏、特に7月頃に目撃されることが多いです。

成長と形態
ハマエンドウは、つる性の多年草です。茎は柔らかく、地面を這うように伸び、巻きひげで周囲のものに絡みつきます。茎の高さは15〜30cmほどです。
葉は多肉質で、灰色がかった緑色をしています。この厚みのある葉は、海岸の乾燥や塩分に耐えるための適応と考えられます。
生態と関わり
ハマエンドウの花には、マルハナバチ類がよく訪れます。主な訪花者はホソアシナガバチならぬマルハナバチのオオマルハナバチとコマルハナバチで、ほかにもナガマルハナバチ、ヒメマルハナバチ、ミヤママルハナバチなどが時折訪れます。ただし、これらの昆虫は訪花者であり、受粉を担うと断定されてはいません。
ハマエンドウの根には、根粒菌の仲間であるRhizobium leguminosarumとRhizobium phaseoliが共生しています。マメ科植物として、空気中の窒素を取り込む働きを担っています。
ハマエンドウは、砂や小石の多い、水はけのよい海岸を好みます。種子が波に削られて発芽する環境は、海岸という生育地ならではの特徴です。
豆知識
- 栽培されるエンドウと近い仲間で、見た目はそれより小さく、野生的な姿をしています。
写真
写真の提供元はvia iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by Matt Berger via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Alexis Tinker-Tsavalas via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Emerson via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Patrice Dupont via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Полина Полежанкина via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Rosario Douglas via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by John A Haskins via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Mary Krieger via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by maureen_c-m via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。
生態と分類
生息地
生育型
- つる植物
分類
- 門
- Tracheophyta
- 綱
- Magnoliopsida
- 目
- Fabales
- 科
- Fabaceae
- 属
- Lathyrus
- 種
- Lathyrus japonicus
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- Plants of the World Online Native range, life form and climate (WCVP)
- GloBI What it eats, what eats it, parasites and pollinators
- Wardeh et al. 2015 (EID2)
- DoPI



