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ヒラタケ

Pleurotus ostreatus

ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)は、世界各地の温帯から亜熱帯の森林に生える、食用として人気の高いきのこです。

担子菌門ハラタケ目ヒラタケ科に属する菌類で、木材に生える姿がよく見られます。和名のヒラタケのほか、牡蠣のような傘から「オイスターマッシュルーム」とも呼ばれるなど、古くから親しまれてきました。

子実体と識別

ヒラタケを見分ける最も大きな手がかりは、ひだが茎の方へ流れるように伸びる点と、茎が中心からずれて横側から木材に付く点です。茎はあったとしても短く、長さは最大4cmほどです。

傘は直径2〜30cmで、扇形または牡蠣の殻のような形をしています。色は白から灰色、褐色まであります。若いうちは縁が内側に巻き込み、成熟すると縁は滑らかで、ときどき波打ったり裂片状になったりします。肉は白く、硬めです。肉の厚さは茎のつき方によって変わります。

ひだは白っぽく、ところどころ黄色みを帯びることがあります。胞子紋は白から淡い藤色がかった灰色で、暗い背景に置くと見やすくなります。香りは苦いアーモンドに似た、甘苦い香りです。

近縁のエリンギ(Pleurotus eryngii)とは同じ属で、よく似ています。似た種には P. columbinus、P. cornucopiae、Hohenbuehelia petaloides、傘に毛が生える Phyllotopsis nidulans、より小型の Pleurocybella porrigens があります。

分布と生息地

ヒラタケは、世界中の温帯と亜熱帯の森林に広く分布しています。ただし、北アメリカの太平洋岸北西部には見られず、その地域では近縁の Pleurotus pulmonarius や Pleurotus populinus に置き換わっています。

主に広葉樹、とくにブナの仲間の木材に生えます。木の幹や倒木、枯れ木に群生して、木材の上で分解を進めます。

生息地は森林に限られるわけではありません。イギリスでは一年を通して見られるとされています。ほかの近縁種には、木にしか生えないものもあります。

観察記録の月別の件数では、12月、1月、10月に多く、夏の7月から9月にかけて少なくなる傾向があります。これは観察された回数の傾向であり、個体数の多さを示すものではありません。

Pleurotus ostreatusの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
8,353
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

生態と関わり

ヒラタケは、枯れ木に生える腐生性の菌類です。木が病気や別の原因で弱って枯れていくと、その木材の上でヒラタケが増えて分解を進めます。分解によって、木材に含まれる養分やミネラルが森の植物や生物が使える形に戻ります。

ヒラタケは、線虫を捕まえて消化する肉食性の菌類としても知られています。菌糸から出す仕組みで線虫を殺して食べ、そこから窒素を得ていると考えられています。少なくとも700種ほどが知られている線虫食性のきのこの一つです。

また、ヒラタケは体内にリチウムを蓄積します。さらに、ヒラタケを好んで食べる甲虫の仲間がいます。Dacne californica、Dacne quadrimaculata、Triplax thoracica などの甲虫が記録されています。このうち Triplax の仲間は、多くの種がヒラタケ、とくにヒラタケそのものを幼虫の餌としているようです。

利用と文化史

ヒラタケは食用きのことして、世界中で栽培されています。ドイツでは第一次世界大戦中に、食料を確保するための手段として栽培が始まったとされています。その後、商業栽培が世界各地で広がりました。

日本、韓国、中国の料理では、ヒラタケはごちそうとして扱われています。ベジタリアン向けのオイスターソースのように、ソースの材料として使われることもあります。味はくせが少なく、わずかにアニスに似た香りがあるとされています。年を経て育つと肉質が硬くなり、味がえぐくなります。

ヒラタケは環境分野でも利用されています。ディーゼル油で汚染された土壌に使うと、油の95%を無害な化合物に変えたという報告があります。また、生分解性のポリ袋を分解できるほか、再生可能なポリエチレンの分解にも関わるとされています。

このきのこからは、コレステロール値を下げる薬であるロバスタチンが見つかっています。ただし、医薬品としての効果や利用について、ここで述べる以上の判断はできません。

豆知識

  1. 学名のPleurotusは、ギリシャ語で「横の耳」を意味する言葉に由来します。傘が横から木に付く姿を耳にたとえた名前です。
  2. 英語名のoyster mushroomは、傘の形がカキの貝殻に似ていることにちなんでいます。

写真

写真の提供元はby Vincent B. via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by Ben Thomas via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Елена А. Кизилова via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Line Juul Nielsen via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Johan Adler via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Михаил Языков via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Andrejus Gaidamavičius via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Vasily Moryashkin via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Rocío Esmeralda Pose via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Maria Aghazarian via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Garry Lydon via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。

生態と分類

食性

  • 肉食

行動

  • 捕食者

生息地

分類

門
Basidiomycota
綱
Agaricomycetes
目
Agaricales
科
Pleurotaceae
属
Pleurotus
種
Pleurotus ostreatus

出典

  1. GBIF Species names and classification
  2. iNaturalist Photos
  3. Wikidata Common names and conservation status
  4. Wikipedia Summary extract