Sphagnum palustre、和名オオミズゴケは、弾力性のあるらせん状の繊維の働きによって、自分自身の乾燥重量の30倍もの水を吸収できるミズゴケ科の一種です。
コケ植物門ミズゴケ綱に属するこの種は、世界中にほぼ分布しており比較的頻繁に見られます。他のミズゴケ属の種と異なり、湿原よりも湿った森林を好んで生育する点が特徴です。
世界的に広く分布しながら特定の環境を選ぶその生態や、人との思わぬ関わりは、この種を知る上で興味深い点といえます。
識別と外見
オオミズゴケを識別する決め手となる特徴として、他のミズゴケ属と同様に、密に茂った淡い色合いの群落を形成する点が挙げられます。
特に湿った森林でしばしば大きなマット状、時には盛り上がった形の群落を作ることが、見分ける際の手がかりになります。
分布と生息地
オオミズゴケはヨーロッパ全域に広がり、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの一部でも見られる、世界的に分布の広いミズゴケです。比較的頻繁に見られる種で、湿った森林、特に針葉樹林、湿った草地などの湿潤な環境を好みますが、湿原にはあまり生育しません。しばしば大きなマット状、時には盛り上がった群落を形成し、Sphagnum fimbriatum、Sphagnum subnitens、Sphagnum squarrosumといった近縁種と共に見られることが多くあります。
多くのミズゴケ属が寒冷地に分布するのに対し、オオミズゴケは温帯の暖かい地域にまで分布域が広がる数少ない種の一つとされています。イギリス諸島では全域に見られ、ロンドン北部からブリストルにかけての一部地域やアイルランド共和国の一部でやや少ないものの、スコットランド、ウェールズ、オークニー諸島、シェトランド諸島、マン島では広く分布し、シリー諸島でも確認されています。
一方で、ハワイのオアフ島カアラ山では、1960年に植物学者が持ち込んだ標本をきっかけに在来生態系に侵入し、定着しています。現地の環境では胞子による有性生殖はできないものの、栄養繁殖によって広がり続けており、現在では約17.3エーカーの範囲を占めるまでになっています。駆除の取り組みは難航しているとされています。

利用と人との関わり
オオミズゴケは、欧州連合の第7次研究枠組み計画の一環であるMosscloneというプロジェクトにおいて利用されています。このプロジェクトでは、モスバイオリアクターという装置の中でオオミズゴケを増殖させ、ヨーロッパの大気質を追跡するための測定ツールとして役立てる取り組みが進められています。
保全と脅威
オオミズゴケはIUCNのレッドリストに掲載されておらず、絶滅のおそれがある種とはみなされていません。
豆知識
- ハワイのオアフ島カアラ山では、1960年に持ち込まれた標本から定着し、胞子による有性生殖ができない環境下でも栄養繁殖のみで約17.3エーカーもの範囲に広がっています。
- ほとんどのミズゴケ属の種が寒冷な地域に分布するのに対し、オオミズゴケは温帯の暖かい地域にまで分布を広げる数少ない種の一つです。
写真
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生態と分類
分類
- 門
- Bryophyta
- 綱
- Sphagnopsida
- 目
- Sphagnales
- 科
- Sphagnaceae
- 属
- Sphagnum
- 種
- Sphagnum palustre
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract



