ツルウメモドキは、木に巻きつくつるで森の木々を締め上げ、枯らしてしまうことのある植物です。学名はCelastrus orbiculatusで、ニシキギ科に近いつる性の木本として知られ、東アジアに自然に分布しています。
自然分布は、ロシア極東、中国、朝鮮半島、そして日本の本州以南にまたがります。日本では低地から山地の林縁や草地の斜面に生え、やぶを作ることもあります。
一方で北米東部では外来種として広がり、森林、林縁、道端、海岸近くの湿地まで入り込んでいます。在来の植物を押しのける力が強いため、侵略的な植物として管理の対象になっています。その強さの理由を生態から見ていくと、このつる植物の性質がよくわかります。
識別と外見
ツルウメモドキを見分ける最も役立つ特徴は、細くしなやかなつると、丸くてつやのある葉です。つるは直径1〜4 cmほどで、銀白色から赤みを帯びた茶色の樹皮に覆われています。
葉は丸く光沢があり、長さは2〜12 cmです。縁には鋸歯があり、つるに互い違いに付きます。夏に向けて葉が広がると、つるに沿って緑の葉が連なる姿になります。
花は小さく緑色で、葉のつけ根に集まって咲きます。実は三つに割れるさく果で、割れると鮮やかな赤い仮種皮が現れ、種子を包んでいます。この赤い実が秋から冬にかけての目印になります。
分布と生息地
ツルウメモドキの自然分布は、ロシア極東、中国、朝鮮半島、日本にまたがる温帯地域です。日本では本州以南の山地や低地で見られます。
北米東部では、ペンシルベニア州、ニュージャージー州、バージニア州、ノースカロライナ州など多くの州に広がっています。南はルイジアナ州から北はメイン州、西はロッキー山脈まで分布が報告されています。ヨーロッパでもイギリス、ドイツ、ポーランドなどで野生化しています。
生育地は、湿り気のある混交広葉樹林と林縁が中心です。針葉樹林、低木林、古い畑、道路わき、伐採された森林にも入り込みます。湿地では海岸の湿地や塩性湿地の縁にも見られます。
標高は、原産地では450〜2,200 mにおよび、北米では海抜0 mから1,400 mまでの範囲で確認されています。土壌は酸性寄りで、適度に湿った土地を好みます。観察記録は秋の9月から10月頃に多く集まりますが、これは見つけられた数であり、分布の広さや個体数を示すものではありません。

成長と形態
ツルウメモドキは多年生のつる植物で、成長はとても速いのが特徴です。成熟すると高さは約9.1 mに達します。
木に寄りかかって育つ場合、つるは幹に巻きついて約12 mの高さまで登ります。つるが太く伸びる環境では直径10 cmを超えることがあり、切り口に現れる年輪は20年を超えることもあります。木が生い茂るとつるの重さで枝が折れることもあります。
林の中では、つるが地面を這うように広がることもあり、ときには林床の低木とともに藪のような群落を作ります。長く伸びたつるは、やがて林冠近くまで届きます。
生態と関わり
ツルウメモドキが在来の植物を押しのける力の一つは、菌根菌との共生です。特に、アーバスキュラー菌根菌と結びつくことで、リンを効率よく吸収できます。
この菌根菌との関係は、土壌のリンが少ない環境でも成長を助けるとされています。根に多くの養分を回さなくて済むため、地上部の茎や葉により多くのエネルギーを使えます。背丈を伸ばして光を取り込み、周囲の植物を日陰に置いてしまうことも、侵略力を高める要因と考えられています。
つるが木に絡みつく性質は、周囲の植物に直接的な害を与えます。木に巻きついて環状に締め付けることで、幹を傷め、木を弱らせたり枯らしたりすることがあります。氷や雪の重みで木が折れやすくなることも指摘されています。
北米では、外来のハゴロモ類であるLycorma delicatulaがこの植物を寄主として利用しています。また、ガの仲間であるYponomeuta sociatusが主な食害者として知られています。
栽培と手入れ
ツルウメモドキは、観賞用の植物として栽培されています。成長が速く、春に白い花を咲かせます。
日当たりを好む植物で、日陰にはあまり強くありません。一方で、乾燥にはある程度耐えられます。土壌の酸度はpH 5.0からpH 7.5までの範囲で育ちます。
耐寒性は高く、最低気温は-38.9°Cまで耐えられるとされています。つるが伸びて大きく育つため、登らせる支柱や棚など、広いスペースを用意することが大切です。
利用と人との関わり
ツルウメモドキは、英国王立園芸協会の「ガーデン・メリット賞」を受けた観賞植物として、イギリスなどで庭に植えられています。
つるは丈夫でしなやかなため、かごを編む素材として使われてきました。また、樹皮の繊維は強い縄を作る材料になります。
写真
写真の提供元はvia iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by Sandy Wolkenberg via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Alex Day via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Alec McClay via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by ivansemenkov via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。
生態と分類
分類
- 門
- Tracheophyta
- 綱
- Magnoliopsida
- 目
- Celastrales
- 科
- Celastraceae
- 属
- Celastrus
- 種
- Celastrus orbiculatus
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- Encyclopedia of Life Habitat, diet and behavior traits
- Plants of the World Online Native range, life form and climate (WCVP)
- USDA Plants US plants: growth habit and growing conditions
- GloBI What it eats, what eats it, parasites and pollinators
- Wardeh et al. 2015 (EID2)



