本文へスキップ
記事へスキップ

コイ

Cyprinus carpio

軽度懸念

ユーラシア大陸の湖や大きな川の、栄養分の多い淡水域に広く暮らす淡水魚です。種全体としては軽度懸念に分類されていますが、在来の野生個体群は絶滅のおそれがあるとみなされています。

世界各地に持ち込まれて家畜化された一方、侵略的な外来種としても扱われ、世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。

食用や観賞用として人との関わりが深く、野生の姿と家畜化された姿の両方から読み解ける魚です。

識別と外見

体が大きく、体重はほどに達します。典型的なメスは体長が約45 cmです。

観賞用に飼育されるコイは、体色が豊かで鮮やかなものが多く、池で鑑賞する魚として販売されています。

分布と生息地

ヨーロッパやアジアの湖や大きな川などに自然に分布し、貯水池、小さな池、流れのゆるい小川など、大小さまざまな淡水域を利用します。とくに、大きくて流れのゆるい水域や、やわらかい泥と水草のある底を好みます。

水温3〜35 °Cの範囲で生息でき、最適な水温は23〜30 °Cです。酸性度6.5〜9.0の淡水や、塩分が約0.5%までの汽水にも適応しています。池が冬に凍っても、氷の下に水が残っていれば越冬できます。

現在は世界の約59か国に持ち込まれています。オーストラリアには150年以上前に持ち込まれ、1960年代に逃げ出した系統が広がって、北部準州を除く全州に定着しました。米国には1831年に持ち込まれています。春から初夏にかけて姿が多く見られる傾向があります。

Cyprinus carpioの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
33,752
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

行動と暮らし

小さな群れで暮らすことが多く、群れは5匹以上になることがあります。一方、大きく育った個体は単独で過ごすことが多くなります。

酸素の少ない水でも耐えられるのは、水面で空気を飲み込むことができるためです。

コミュニケーション

コイは、主に触覚と化学感覚によって周囲の状況を感じ取ります。体が触れ合う感覚と、水中の化学的な刺激が、周囲を知るための重要な手がかりになります。

食性と栄養

主に底の泥の中にすむ無脊椎動物を選んで食べる雑食性です。口で泥を吸い込んで吐き出し、その中から餌を選んで食べます。浅い水域では、底の泥を掘り返した跡がくぼみとして見られます。

成魚は、昆虫、甲殻類、環形動物、貝類などの小動物を食べるほか、魚の卵や魚の死骸も食べます。植物では、根や塊茎、種子を食べます。

稚魚は、最初は動物プランクトンのワムシやカイアシ類と藻類を食べます。若い魚になると、ユスリカ類、トビケラ類、貝類、甲殻類などの小型の無脊椎動物を食べるようになります。

繁殖と生活史

春から初夏に、気温と水温が上がると産卵します。オスとメスは浅い水辺に集まり、水草が密生した場所を選んで産卵します。オスが体外で受精させ、メスは勢いよく卵を水草の上にばらまきます。卵は水草に付着します。

典型的なメス(体長約45 cm)は約30万個の卵を産み、一産卵期に100万個に達することもあります。ふ化までの期間は、水温25〜32 °Cでおよそ3日です。ふ化した稚魚の体長は5〜5.5 mmで、体長8 mmほどで卵黄が消えて、自分で餌を食べ始めます。

オスは3〜5歳、メスは4〜5歳で性成熟します。温度や雨の量に応じて、一季節に複数回産卵することもあります。熱帯では一年中繁殖します。卵が水草に付着した後は、親による世話はありません。

知られている最長の寿命はで、多くは飼育下の個体です。これは野生での典型的な寿命を示すものではありません。

個体数と生態的役割

底をあさって餌をとるため、水生植物を根ごと引き抜いたり、地下茎や若い芽を食べたりします。その結果、水草が減り、水が濁って日の光が届きにくくなり、水質が悪化します。

泥の中の栄養分を取り込み、排せつによって水中に戻すため、水中の栄養分が増えます。この影響と繁殖力の高さから、厄介な生き物とみなされてきました。

家畜化と人との歴史

古代ローマでコイの養殖が行われ、その後も修道院の池で養殖が続きました。中国、朝鮮、日本では、少なくとも弥生時代(紀元前300年頃〜紀元300年頃)から養殖が行われていたとされます。

現在は養殖魚として大量に生産されており、年間の生産量は約300万トンで、淡水養殖魚の14%を占めます(2002年)。中国が生産の約70%を占める最大の生産国です。商業養殖では、産卵を促すために下垂体の抽出物を注射する方法が使われます。

食用としては多くの地域で重要ですが、オーストラリアと北米では食用として好まれていません。観賞用の色鮮やかな個体は、飼育されて観賞魚として販売されています。

保全と脅威

国際自然保護連合のレッドリストでは、種全体として軽度懸念に分類されています。一方、在来の野生個体群は絶滅のおそれがあるとみなされています。

本種が生態系に与える影響としては、水草の減少、水質の悪化、在来の水鳥や魚類の食べ物や生息地への被害が挙げられます。

オーストラリアでは、コイヘルペスウイルスを放つ案が議論されていますが、環境への安全性と効果には疑問が出されています。米国ユタ州では、ユタ湖のコイを網で大量に捕獲し、食用にするか肥料に加工する計画があり、個体数を75パーセント減らすことが見込まれています。

軽度懸念

文化的意義

観賞用のコイは、東アジアに起源があり、2000年以上の歴史を持つとされます。色彩の豊かさが特に注目され、観賞魚として池で飼われてきました。

コイの色彩や神話は、東アジアの芸術や文学を通じて受け継がれてきました。食用と観賞用の両方で人々の生活に入り込んできた魚です。

豆知識

  1. 2020年の研究では、水鳥に食べられたコイの受精卵の一部が消化管を通り抜け、糞から取り出された後にふ化することが確かめられました。魚の卵を好む水鳥が、コイの卵を運ぶ可能性も指摘されています。
  2. 1974年の大洪水は、オーストラリアのマレー・ダーリング川流域へのコイの広がりを助けたとされます。
  3. オーストラリアの研究機関では、オスだけを生むように遺伝子を組み換えたコイを作る技術が検討されたことがあります。

写真

写真の提供元はvia iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by Emily Nyenyedzi Davies via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Peter Crowcroft via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Codrin Bucur via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Carson Dudley via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Juan Rodríguez via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Iván Cumpián via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Xthnob via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by evgeniq_benihanov via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Evan via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Eddie via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Cricket Raspet via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。

生態と分類

生息地

行動

  • 地中営巣性
  • 単独性
  • 水生
  • 社会性

食性

  • 雑食性

分類

門
Chordata
目
Cypriniformes
科
Cyprinidae
属
Cyprinus
種
Cyprinus carpio

出典

  1. GBIF Species names and classification
  2. iNaturalist Photos
  3. Wikidata Common names and conservation status
  4. Wikipedia Summary extract
  5. Animal Diversity Web Animal habitat, behavior and diet
  6. AnAge Longevity