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Dicksonia antarctica

Dicksonia antarctica

記録された一般名なし

太い繊維質の幹に囲まれた大型の木生シダで、幹の先端から放射状に大きく垂れた深緑色の葉を広げている写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

ひと目でわかる

主な特徴
森林シダ
分類
門
Tracheophyta
綱
Polypodiopsida
目
Cyatheales
科
Dicksoniaceae
属
Dicksonia
種
Dicksonia antarctica

Dicksonia antarctica の幹は山火事に強く、地上部の葉がすべて焼け落ちても、幹の先端から新たな葉冠を再生させることができます。森の陰でも、火災後の開けた環境でも生き延びられる、たくましい適応力を持つ植物です。

ディクソニア科(Dicksoniaceae)、ヘゴ目(Cyatheales)に属する木生のシダで、オーストラリア東部、クインズランド州南東部からタスマニア州にかけて自生しています。世界各地の庭園でも観賞用として広く栽培されている植物です。国際自然保護連合(IUCN)による評価は行われていませんが、クインズランド州では「特別軽度懸念」、南オーストラリア州では「絶滅危惧」に指定されるなど、地域によって扱いが異なります。

何百万年もの進化の歴史を持つ木生シダの姿を今に伝えるだけでなく、先住民の食文化や庭園文化とも深く結びついてきた植物であり、その生態と歴史を知る価値のある種です。

識別と外見

最も見分けやすい特徴は、褐色の繊維質の根や古い葉柄の基部が密に絡みついた幹(正確には「幹」ではなく仮軸と呼ばれる)です。この仮軸は柔らかい髄を中心に、維管束の層と、それを支える硬い組織の輪に囲まれています。

通常は高さ約5メートル、幹の直径約30センチメートルほどに成長しますが、稀に高さ15メートル、幹の太さ2メートルに達する個体も記録されています。多くは単一の茎を持ちますが、最大6つの生長点(クラウン)を持つ個体も見つかっています。

幹の先端には多数の葉が集まり、漏斗状の大きな樹冠を形成します。この形は雨水を集めて自らに取り込むためではないかとも考えられています。葉は長さ最大4メートルに達し、太さ約30センチメートルの丈夫な葉柄で幹に付いています。葉柄は基部を除いて滑らかですが、基部には長い褐色の毛が密生しています。葉は三回羽状複葉で、硬く革質、上面は濃い緑色、下面はより淡い色をしており、中央付近が最も幅広くなります。

胞子は葉の裏側にある胞子嚢群(ソーラス)で作られ、各裂片に1個、直径約1ミリメートルの大きさで形成されます。

分布と生息地

自生地はクインズランド州南東部のバニヤ山地から、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州の沿岸近くを経て、タスマニア州まで南下する範囲に広がっています。かつては南オーストラリア州にも分布していましたが、現在は野生では絶滅している可能性が高いとされています。イギリス、アイルランド、マデイラ諸島、アゾレス諸島、南アフリカなどにも導入されています。

生育地は降水量の多い熱帯雨林や湿性硬葉樹林で、特に沢沿いや谷間の保護された場所を好みます。条件が整えば広い範囲を優占することもあります。生育する高度は海抜近くから約1,000メートルまでと幅があります。

この種は山火事への適応力が高く、森林の陰でも、火災後にむき出しになった環境でも生育できます。幹は耐火性があり、燃えた後も樹冠が再生します。

GBIFの月別観測記録では、1月から3月にかけて記録数が多く(3月が最多の2,122件)、7月から8月にかけて最も少なくなっています(8月は812件)。これは南半球の夏から早春にあたる時期に観察機会が増えることを示している可能性がありますが、あくまで観察記録の傾向であり、個体数や分布の全体像を示すものではありません。

Dicksonia antarcticaの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
2,122
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

生態と関わり

樹冠の中にはポッサムが眠り込むことがあり、若い葉が巻いた状態(クロージア)を食べることも知られています。オウム類もクロージアを食べ、クリムゾンロゼラ(Platycercus elegans)は胞子嚢群(ソーラス)を食べる様子が観察されています。

木生シダの仮軸は着生植物にとって非常に良い生育基盤となります。2005年にタスマニアで行われた調査では、野生の Dicksonia antarctica 120個体を調べたところ、合計97種の小型シダ、コケ類、蘚苔類がその幹の上に生育していることが確認されました。

こうした豊かな共生関係は、降水量が多く湿った谷間や渓流沿いという、この種が好む環境条件のもとで成り立っています。

利用と人との関わり

観賞用植物として世界中の庭園で広く栽培され、英国王立園芸協会(RHS)の「ガーデン・メリット賞」を受けるほど評価されています。年間降水量500ミリメートル以上を必要とし、乾燥した気候では点滴灌漑やスプレーによる散水が効果的とされています。

仮軸(いわゆる「幹」)はフェンスの材料や、ランを育てるための台としても利用されてきました。仮軸の髄と若い葉(クロージア)は食用にもなり、オーストラリア先住民によって食べられてきました。1889年の書籍『The Useful Native Plants of Australia』には、「幹の先端の柔らかい部分にはデンプンが豊富に含まれ、先住民はこれを生でも、灰の中で焼いても食べた。幹の上部を約45センチメートルほど切り開いて、スウェーデンカブのような食感で人の腕ほどの太さの芯を取り出し、灰の中で焼くか、パンのように食べた。ただし苦味と渋味が強く、イギリス人の口には合わない」という記録が残されています。

また植物は記念や贈り物として、誕生や死、結婚式や祝祭などの特別な機会を記す存在として用いられることがあり、神話や宗教、文学にもしばしば登場します。

保全と脅威

IUCN(国際自然保護連合)による世界的な評価は行われていません。オーストラリア連邦政府、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州のいずれの政府からも、2025年11月時点で保全区分の指定はありません。

一方で地域ごとの扱いには差があります。クインズランド州では「特別軽度懸念」に指定されており、比較的安定した状況とみなされています。しかし南オーストラリア州では「絶滅危惧」に指定されており、この地域ではかつて自生していたものの、現在は野生下でおそらく絶滅していると考えられています。

このように、種全体としては広く分布し栽培もされている一方で、地域的な個体群には消失が進んでいる例があることが分かります。

豆知識

  1. 幹の先端に広がる漏斗状の樹冠は、雨水を集めて自らに取り込む働きをしているのではないかと考えられています。
  2. 属する科であるディクソニア科(Dicksoniaceae)には、オーストラリアにわずか1属3種しか存在しません。
  3. 通常は1本の茎を持ちますが、最大で6つの生長点(クラウン)を同時に持つ個体が記録されたこともあります。

生態

生息地

  • 森林

生育型

  • シダ

写真

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太い繊維質の幹に囲まれた大型の木生シダで、幹の先端から放射状に大きく垂れた深緑色の葉を広げている写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

出典GBIFiNaturalistWikidataWikipedia