Eupithecia vulgata は、アイルランドやポルトガルの大西洋岸からヨーロッパ全域、中東、中央アジアを経てロシア極東のプリアムリエや韓国にまで分布する、シャクガ科の一種です。旧北区の広い範囲で普通に見られる蛾として知られています。
昆虫綱チョウ目に属し、一見目立たない姿をしていますが、翅の模様には地域や個体による大きな変異が見られる点が興味深い種です。
識別と外見
最も分かりやすい特徴は、前翅に見られる角張った濃色の筋模様です。翅の地色は褐色から黒褐色まで変異が大きく、赤みを帯びたものやオークル色、白っぽいものまで見られます。
翅の開長は 18–21 mm ほどで、小型の蛾です。前翅には角ばった暗い色の筋(条線)があり、後中央線は二度角張る形をしています。中央帯の後縁には黒い部分があり、亜端線は白い点状に途切れて見え、翅の後端近くには小さな白い斑点があります。前翅中央には小さな暗色斑がある個体とない個体の両方が見られます。後翅は前翅に似ていますが、模様はより不明瞭です。
幼虫は細長く無毛で、灰緑色または淡褐色の体に菱形の暗色斑が並びます。蛹は赤褐色で翅鞘はオリーブ色を帯び、尾端の突起には8本の鉤状の毛があります。
成虫は年に2回、5月から6月と8月に発生し、夜間に活動して灯火に飛来する習性があります。
分布と生息地
森林の縁、藪、生け垣、土手、植生の帯状地帯のほか、庭園や公園など多様な生息地に生息しています。アルプス地方では標高 1,500 m まで生息が確認されています。
観察記録の月別の集計では春から初夏にかけて大きく数が増える傾向が見られ、特に初夏の時期に記録数が集中しています。ただしこれは観察された記録の数であり、個体数や分布全体を表すものではない点に注意が必要です。年2回の発生サイクルと合わせて考えると、この時期の増加は成虫の羽化・活動期に対応している可能性があります。

食性と栄養
幼虫は多様な植物を食べることが知られており、セイヨウノコギリソウ、ヨモギ属、ホタルブクロ、ヤグルマギク属、サンザシ、アカネ科のクリーパー類、ヤナギ、キオン属、セイタカアワダチソウ属、コケモモなどが食草として挙げられます。
記録された食草の中では、コケモモがやや多く報告されており、キツネノテブクロやセイヨウカラハナソウ、ヤナギ属やキオン属、セイタカアワダチソウ属なども確認されています。サンザシ属やキク科の植物も食草として記録されています。
このように幼虫の食性は特定の植物に限定されず、草本から木本まで幅広い植物群を利用する傾向が見られます。成虫になると蛹で越冬し、翌年の発生に備えます。
豆知識
- この種は1809年にAdrian Hardy Haworthによって初めて記載されました。
- Eupithecia austeraria、Eupithecia impuncta、Eupithecia montium、Eupithecia nigrofasciata、Eupithecia unicolor など複数の異名(シノニム)が存在します。
写真
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生態と分類
分類
- 門
- Arthropoda
- 綱
- Insecta
- 目
- Lepidoptera
- 科
- Geometridae
- 属
- Eupithecia
- 種
- Eupithecia vulgata



