本文へスキップ
記事へスキップ

グネモン

Gnetum gnemon

LC軽度懸念
光沢のある濃緑色の対生する葉を持ち、高さ15〜22メートルほどに育つ常緑樹で、長い柄の先に果実のような種子を実らせているグネモンの成木の様子。写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

ひと目でわかる

主な特徴
高木
分類
門
Tracheophyta
綱
Gnetopsida
目
Gnetales
科
Gnetaceae
属
Gnetum
種
Gnetum gnemon

Gnetum gnemon(和名グネモン)は、裸子植物であるにもかかわらず、被子植物と見間違えられるほどの姿を持つ珍しい樹木です。広い葉、果実のように見える雌性の生殖器官、そして花のように見える雄性の生殖器官は、被子植物との収斂進化の結果生まれた特徴です。

グネモンはグネツム目グネツム科に属する裸子植物で、インドのミゾラム州やアッサム州からマレー半島、マレー諸島、フィリピンを経て西太平洋の島々まで、東南アジアを中心に広く分布しています。IUCNの評価では「低危険種(Least Concern)」とされており、絶滅の心配は少ない種です。

メリンジョ、ベリンジョ、バゴ、ルンバイ、ハンス、チューリップなど地域ごとに多彩な呼び名を持つことも、この木が東南アジアの暮らしに深く根づいてきた証と言えます。

識別と外見

グネモンを見分ける最大の手がかりは、同属の他の Gnetum 種の多くがつる性であるのに対し、本種は高さ15〜22メートル、直径最大40センチメートルの幹を持つ小型から中型の樹木として育つ点です。低木型の品種(brunonianumやgriffithii、tenerumなど)も存在します。

葉は常緑で対生し、長さ8〜20センチメートル、幅3〜10センチメートル、縁は滑らかです。若葉は銅色を帯びて出現し、成長するにつれて光沢のある濃い緑色へと変化します。

この木は本当の花を咲かせませんが、長さ3〜6センチメートルの柄から雄性・雌性の生殖器官を伸ばします。雄性の生殖器官は小さく、長い柄に連なって並ぶため花のように見えることが多く、果実(メリンジョ)は雌性の生殖器官が受精することで生じます。

楕円形の果実(植物学的には種子)は長さ1〜3.5センチメートルで、薄いビロード状の外皮の内側に大きな胚乳(長さ2〜4センチメートル)を持ちます。果肉部分は約5.5グラム、胚乳だけでも約3.8グラムの重さがあります。熟すにつれて色は黄色からオレンジ、紫、あるいはピンクへと変化します。インドネシアでは3〜4月、6〜7月、9〜10月の年3回結実期があり、フィリピン北東部では主に6〜9月に果実が見られます。

分布と生息地

グネモンの自生地は、インド北東部のミゾラム州・アッサム州から、中国南西部(チベット自治区南東部や雲南省西部の盈江県)、そしてミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンを経て西太平洋の島々にまで広がっています。東南アジアの熱帯地域を中心に、幅広い緯度で確認される種です。

GBIFに登録された月別の観察記録数を見ると、1月から12月にかけて173件から375件の範囲で推移しており、10月に375件、4月に319件と比較的多く報告されています。ただし、これらの数値は観察された記録の有無を示すものであり、個体数や生息密度、あるいは自生範囲の全体像を表すものではない点に注意が必要です。

Gnetum gnemonの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
375
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

利用と人との関わり

グネモンの種子は東南アジアやメラネシアの広い地域で、茹でたり炒ったり、あるいは生のまま食べられています。若葉、雄性の生殖器官(しばしば「花」と誤って呼ばれる部分)、そして果実の外側の果肉も、調理すればインドネシア、フィリピン、タイ、バヌアツ、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジーなどで食用にされます。これらはわずかに酸味があり、スープやシチューによく用いられます。

グネモンが最も広く利用されているのはインドネシア料理で、現地では「メリンジョ」または「ベリンジョ」と呼ばれます。種子は酸味のある野菜スープ「サユール・アセム」に使われるほか、生の薄切りチップスを油で揚げた「エンピン」という一種のクルプック(せんべい)にも加工されます。エンピンはわずかな苦味があり、インドネシア料理の付け合わせやおやつとして親しまれています。

インドネシアのアチェ地方では、グネモンは広く栽培され、地位の高い野菜として扱われています。雄性の生殖器官、若葉、雌性の生殖器官は、伝統的な野菜カレー「クアパリエック」の材料となり、この料理はカンドゥリやクルジャなどの重要な伝統行事で供されます。ピディ県では、女性たちが赤く熟した果実を摘み取り、「クルプック・ムリン」という食品を作ります。

豆知識

  1. 属名 Gnetum は、モルッカ諸島の呼び名「ガネマ」または「グネモ」に由来し、1767年にカール・リンネによって名付けられました。この名は、ドイツ・オランダの博物学者ゲオルク・エーベルハルト・ルンフィウスが1741〜1750年に刊行した『アンボイナ植物誌』に記録されています。
  2. 種小名 gnemon はマレー語やインドネシア語の方言に由来するとされ、この植物が地域社会で古くから重要視されてきたことを反映しています。
  3. 別の説では、属名 Gnetum はラテン語の「gnetus(結合する)」に由来し、この植物群に見られる特徴の融合を表すとも言われています。
  4. 英語圏では「joint fir」や「two leaf」、カルビ語では「ハンス」、その他の地域では「チューリップ」と呼ばれるなど、呼び名の多様さがこの木の広範な分布を物語っています。
  5. グネモンは食用の種子や葉だけでなく、有用な繊維を生み出す木としても知られています。

保全状況

  1. LC
  2. NT
  3. VU
  4. EN
  5. CR

軽度懸念

生態

生育型

  • 高木

写真

写真20枚
1 / 20
光沢のある濃緑色の対生する葉を持ち、高さ15〜22メートルほどに育つ常緑樹で、長い柄の先に果実のような種子を実らせているグネモンの成木の様子。写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

出典GBIFiNaturalistWikidataWikipediaEncyclopedia of Life