ナガエノスギタケ(Hebeloma radicosum)は、柄の根元が根のように細く伸び、アーモンドやマジパンに似た香りを放つきのこです。
本種はハラタケ目フウセンタケ科に属する菌類で、日本、ヨーロッパ、北アメリカに分布しています。地面や草地に生え、住宅地の低木や生け垣の近くでも見つかります。
有毒で、食べると胃腸の不調を起こすことがあります。姿と香りの特徴を知ると、似たきのことの区別に役立ちます。
子実体と識別
柄の根元が根のように細く伸びていることと、アーモンドに似た香りが、本種を見分ける最も確かな手がかりです。
傘は直径5〜10cmで、若いうちは丸く盛り上がり、成長すると平らに開きます。表面は湿るとべたつき、色は黄褐色、金茶色、オーカー、淡い肉桂色まで変化し、縁に近いほど淡くなります。若い傘の縁は内側に巻き込み、部分膜の残骸が垂れ下がることがあります。
柄は長さ7.5〜18cm、太さ1.3〜2.5cmで、中ほどがふくらみ両端が細くなります。根元は淡い褐色の繊維と綿毛状の鱗片に覆われ、その下にクリーム色の地色が見えます。中は詰まって硬く、上部につばがあります。ひだは柄に離れるか接する程度で、成熟すると縁が波打つか細かく裂けます。白いひだは胞子の成熟とともにオーカーから赤褐色に変わります。
胞子紋は赤褐色から肉桂褐色です。胞子はアーモンド形で小さないぼに覆われ、大きさは8〜10×5〜6μmです。担子器は4胞子性です。
分布と生息地
ナガエノスギタケは日本、ヨーロッパ、北アメリカで見つかっています。地面に散らばって生えることも、群れて生えることもあります。土の出た場所や草地が生育の舞台になり、住宅地の低木や生け垣の周辺にも見られます。
出現が目立つのは秋で、8月ごろから増え始め、9月と10月に大きく増えます。11月になると少なくなり、春から夏はあまり見られません。

生態と関わり
本種はアンモニアを多く含む場所を好む菌類で、モグラ、ハツカネズミ、トガリネズミのトイレ跡の近くにしばしば生えます。このため、モグラの営巣生態を調べる材料としても使われてきました。
日本での野外調査では、Suillia属のハエの雄がきのこの上で休み、縄張りに入ってくる同種の雄を追い払いながら、雌の到着を待つ様子が示されています。
実験室では、純粋培養した子実体を育てることができます。子実体は重力に対して負の屈性を示し、光に対しては屈光性を示しません。原基の形成には光が要りませんが、分化と成熟には光が必要です。土の中で原基を作り、地表で成熟するという生育のしかたと関係していると考えられています。
利用と文化史
ナガエノスギタケには、文化的な象徴としての意味はあまり見られません。人々の関心は、主に生態的な面に向けられています。ヨーロッパのきのこ祭りや観察会では、関心の高い種として時折取り上げられます。
豆知識
- ひだは成熟の途中で白からオーカー、赤褐色へと色を変えるため、若いきのこと古いきのこでは同じ種とは思えないほど印象が変わります。
写真
写真の提供元はvia iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by Екатерина Войнова via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by ionafraser via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by gerardbertrand via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Markus Krieger via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Manuela Fiorini via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by victor laborde via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Tobias Schiller via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Virn Stothers via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Ульяна Лалак via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Maaike Verschueren via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。
生態と分類
分類
- 門
- Basidiomycota
- 綱
- Agaricomycetes
- 目
- Agaricales
- 科
- Hymenogastraceae
- 属
- Hebeloma
- 種
- Hebeloma radicosum
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract



