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アカハツタケ

Lactarius deliciosus

アカハツタケ(Lactarius deliciosus)は、マツ類の根と共生して生きるきのこです。ヨーロッパを原産とし、マツの植林に伴って、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどにも持ち込まれました。

ベニタケ科チチタケ属に属する、よく知られた種のひとつです。チチタケ属は種類が多く、本種はそのなかでも特に名前の知られたきのこです。傘や柄の色、切ったときに出る乳液の色などで、似た種と区別されます。

日本語で「アカハツタケ」と呼ばれるこのきのこは、食用として古くから親しまれてきました。原産地では料理にも使われ、地域の文化とも深く結びついています。

子実体と識別

傘は、にんじんのような鮮やかなオレンジ色です。若いときは縁が内側に巻き込み、成長すると凸形から花瓶形へと開きます。直径は3〜20cmほどになり、濃いオレンジ色の同心円状の線が入ることがよくあります。湿っているとべたつきますが、乾いていることも多いです。

ひだは密に並び、柄に沿って下がる形で付きます。柄は短くずんぐりしており、長さは2〜8cm、太さは1〜2.5cmほどです。内部がくぼんでいることも多く、この点も手がかりになります。

肉とひだは、傷つけると深い緑色に変色します。新鮮なうちはオレンジ赤色の乳液を出しますが、その色は変わりません。胞子紋はクリーム色です。

似た種はいくつかあります。Lactarius deterrimusは傘が灰色がかり、ひだの色もやや鈍い橙色です。Lactarius rubrilacteusは青く変色し、赤い乳液を出します。Lactarius olympianusは白い乳液を出し、味は不快とされます。Lactarius thyinosは橙色ですが、緑に変色しません。Lactarius salmoneusは白い傘をもちます。

分布と生息地

アカハツタケは、ヨーロッパの地中海沿岸を中心に分布します。南ピレネー山脈では地中海性のマツの下に生え、ポルトガル、ブルガリア、スペイン、ギリシャ、イタリア、キプロス、フランスなど地中海沿岸の各地でも見られます。

生育地は、酸性の土壌をもつ針葉樹林です。キプロスでは、トロードス山脈の高地にあるクロマツやブルティアマツの森で多く見られ、地元では珍重される食材として採取されています。トルコ南西部のイズミル県や南岸のアンタルヤ県でも、本種は採取され販売されています。

マツの植林地にも生育します。チリ、オーストラリア、ニュージーランドでは、ラジアータマツの植林地に持ち込まれて広がりました。南アフリカにも導入されています。オーストラリアでは、ビクトリア州マセドン周辺、アデレード・ヒルズのマウント・クロフォード、ニューサウスウェールズ州オーバロンの周辺、首都特別地域のマツ林などが採取地として知られています。

秋の雨のあと、特に復活祭の時期に、イタリア系やポーランド系などの住民が採取に出かける地域もあります。北半球では8月から10月初めに、南半球では4月から6月に採取されます。

Lactarius deliciosusの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
5,691
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

利用と文化史

アカハツタケは、ヨーロッパを中心に古くから食用とされてきたキノコです。スペインのイベリア半島では広く採取され、スペイン料理にも使われています。料理に使う際は、バターを少量だけ用いるのが勧められています。

ロシアでは非常に人気があり、塩漬けにして食べられることが多いキノコです。さらに北や東の地域では、フランスのプロヴァンス料理の特徴的な食材にもなっています。

インドのメガーラヤ州では、先住民の部族が最もよく食べるキノコ10種の一つに数えられています。味はあっさりしていることも、少し苦味を感じることもあります。

学名のdeliciosus(おいしい)という種小名は、リンネが別の種と取り違えたことが原因ではないかと考えられています。名前とは裏腹に、食用としての評価は地域によって分かれています。

豆知識

  1. 種小名のdeliciosusは「おいしい」を意味しますが、命名したリンネが別の種と取り違えたことが原因ではないかとされています。
  2. このきのこは、さまざまな歴史の文献に登場し、いくつかの文化で伝統的な祝宴や饗宴の一部となってきました。

写真

写真の提供元はvia iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、by K.P. via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Igor Balashov via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by relew via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Виктория Билоус via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Marius K. via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Piotr Panek via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Tyler Hacking via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Andrejus Gaidamavičius via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Марина Давлетшина via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Ewa Olchanowska via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.、by Евгений Маринкин via iNaturalist, licensed under CC BY 4.0.です。各写真に撮影者のクレジットを記載しています。

生態と分類

生息地

分類

門
Basidiomycota
綱
Agaricomycetes
目
Russulales
科
Russulaceae
属
Lactarius
種
Lactarius deliciosus

出典

  1. GBIF Species names and classification
  2. iNaturalist Photos
  3. Wikidata Common names and conservation status
  4. Wikipedia Summary extract