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コウライキジ

Phasianus colchicus

軽度懸念

コウライキジ(Phasianus colchicus)は、キジ科に属する鳥です。属名の Phasianus はラテン語で「キジ」を意味し、種小名の colchicus は、黒海沿岸の国コルキスに由来します。ヨーロッパの人々が初めてこの鳥を知ったのが、この地域だったとされています。

かつては、ニワトリを含む Gallus 属に近いと考えられていました。しかし近年の研究では、両者は別の亜科に属し、2000万年以上前に分かれたことがわかっています。

本来は中国やロシア東部、朝鮮半島など東アジアから中央アジアにかけて分布していました。飼育下でよく繁殖し、各地の気候に適応しやすいため、ヨーロッパ、北アメリカ、日本、ニュージーランドなどに持ち込まれて定着しています。国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリストでは、軽度懸念に分類されています。

識別と外見

オスは、頭が緑がかった濃い青緑色で、目の周りに赤い肉垂があります。頭の後ろには耳羽と呼ばれる小さな羽角が2本あり、これが体を引き締めて見せます。首輪のような白い輪模様は、基本亜種のコウライキジにはありません。

体は金色や銅赤色の羽で覆われ、緑や紫の光沢があります。背中の羽は茶色の縦縞模様で、尾は長く、全長の半分近くを占めます。体の大きさは、オスで全長60〜89 cmほどです。

メスと若い個体は、全体に褐色のまだら模様で、オスほど目立ちません。全長は50〜63 cmほどで、尾は約20 cmと短くなっています。若いオスは、春の終わりにかけて胸や頭、背中に派手な羽が生え始め、約10週齢で成鳥に近い羽色になります。

体重は平均で約です。オスは体が大きく、メスより重くなります。

よく似た種として、アオキジ(Phasianus versicolor)があります。アオキジのオスは、胸と腹が一様な緑色で、首輪がありません。メスは胸と腹に黒い斑点が多く見られます。交雑が進んでいるため、飼育個体や放鳥個体では、見分けが難しいことがあります。

分布と生息地

コウライキジは、主に草地や農耕地に生息しています。森林や湿地、低木林、都市近郊の公園など、さまざまな環境で暮らします。乾いた土地にも湿った土地にも適応でき、水辺の近くで草地と小さな林が入り混じった場所を好みます。

繁殖期の巣は、草やハーブが高く茂った場所に作られます。草の高さが20〜25 cmほどになる春の草むらが特に好まれます。道路脇や農地の縁、用水路沿いの草地は、巣を作る場所として重要です。営巣の時期は、一般に4月から6月にかけてです。

雛の時期には、刈り取られた牧草地や穀物畑が、餌場として使われます。冬は、背の高い草が生えた湿地や防風林、麦わらの畑などで過ごします。雪が深い地域では、積雪の下にある食べ物を探すため、木立や湿地の近くに集まります。

自然分布域は、黒海とカスピ海の東側から中国東部、朝鮮半島、台湾にまで広がっています。バルカン半島の個体群は、ギリシャのネストス川沿いの林だけに残っており、成鳥の数は100〜200羽ほどと推定されています。

Phasianus colchicusの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
613,214
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

行動と暮らし

コウライキジは、ふだんは地上で過ごします。走るのが速く、「胸を張って歩く」ような独特の歩き方をします。えさを食べているときは尾を水平に保ち、走るときは尾を約45度に傾けます。夜は地上か木の上で休みます。

秋から冬にかけては、食べ物と隠れ場所のある場所に、数羽から数十羽の群れで集まります。群れは同性だけのこともあれば、雌雄が混ざることもあり、最大で50羽ほどになる場合があります。繁殖期には、オス1羽が数羽のメスを囲んで暮らします。

行動圏は、季節によって大きく変わります。メスは繁殖期の行動圏が雄より広くなる傾向があります。行動圏の広さは、0.8〜3.2 km²と報告されています。冬の行動圏は繁殖期より狭くなります。

飛ぶのは得意ではありませんが、驚くと急に真上に近い角度で飛び立ちます。飛び立つ時には、オスが「ケーッ」という鳴き声を出すことがあります。砂や土の中で体を転がして羽の汚れを落とす「砂浴び」も、よく行います。

コミュニケーション

オスは、驚いたときに低くしゃがれた鳴き声を出します。縄張りを主張する時には、「コッ、コォルッ」と二回続けて鳴く大きな声を出し、これは縄張りを作る時にも使われます。この声はニワトリの鳴き声によく似ています。この鳴き声は夜明けや夕暮れ、繁殖期に、農耕地で特によく聞かれます。

繁殖期のオスは、ほかのオスとの位置関係や、メスへのアピールにも姿を使います。低く頭を下げて、羽を広げるような横向きの歩き方を見せ、メスに近づきます。

メスは、オスに比べて鳴き声が控えめで、遠くまで聞こえにくい声を出します。コミュニケーションは、主に目で見える姿と鳴き声によって行われます。

食性と栄養

コウライキジは、植物も動物も食べる雑食性の鳥です。植物では、穀物、種子、若芽、果実、木の実などを食べます。動物では、昆虫やナメクジ、ミミズ、クモなど、小さな無脊椎動物を捕まえて食べます。

主に地上でくさむらをひっかいて、えさを探します。えさを探すのは、朝早くと夕方が中心です。

農耕地では、トウモロコシ、小麦、大麦、アマなどの作物がよく食べられます。雑草の種子や、ブドウ、リンゴ、ブラックベリーなどの果実も食べます。雛は特に昆虫を多く食べ、成長に必要なたんぱく質をとります。

冬には、植物の種子や木の実が中心になります。雪が多く、地面のえさが見つけにくい時期には、湿地の草や木の芽も重要な食べ物になります。

営巣と繁殖

コウライキジは、一夫多妻の繁殖をします。繁殖期が来ると、オスは縄張りを作り、鳴き声や羽をばたつかせるディスプレイでメスを集めます。1羽のオスは、2〜18羽ほどのメスを囲むことがあります。メスは縄張りをもたず、自分で選んだオスと、繁殖期の間だけ一緒に過ごします。

メスは、地面を少しくぼませた場所に巣を作ります。巣は、草やまわりの植物で軽く覆われ、茂みや生け垣の下など、外から見つかりにくい場所に作られます。産卵は、3月中旬から6月にかけて行われます。メスは1日に1個ずつ卵を産み、7〜15個ほどの卵を産みます。平均では約10個の卵を産みます。

抱卵は、産卵が終わってから約23〜25日続きます。抱卵はメスだけが行い、日中のほとんどを巣の中で過ごします。朝と夕方だけ、えさを食べに出かけます。

雛は、孵化した時点で体に綿毛があり、目も開いています。すぐに歩いて、メスの後をついて回り、自分でえさをとります。約12日で飛べるようになり、70〜80日ほどは母親と一緒に過ごします。育児はメスだけが担当し、雛を食べ物のある場所へ導きます。

個体数と生態的役割

コウライキジは、世界各地で数多く生息しています。ヨーロッパや北アメリカでは、狩猟の対象として大量に放鳥されています。英国では、毎年約5000万羽が飼育下から放たれ、そのほとんどは1年以内に死んでしまいます。そのため、個体数は季節によって大きく変動します。

生態系では、昆虫を食べて害虫を減らす役割を果たします。また、種子を食べることで、植物の種子の散布にも関わります。捕食者にとっては、大型の肉食動物の餌にもなっています。

一方で、ほかの鳥類への影響も指摘されています。大草原に生息するオオソウゲンライチョウや、灰色のヤマウズラの巣に卵を産み込むことがあり、こうした鳥の繁殖を妨げる場合があります。

保全と脅威

コウライキジは、国際自然保護連合の絶滅危惧種レッドリストで、軽度懸念に分類されています。世界的には広く分布しており、個体数が危機的に減っているわけではありません。

アメリカ合衆国では、過去30年ほどの間に個体数が減少しています。農業の変化や農薬の使用、生息地の分断、そして作物の変化による捕食の増加が原因と考えられています。特に、繁殖に必要な背の高い草地が減ったことが影響しています。

イギリスでは、狩猟のために大量に放鳥されています。放たれた鳥の大部分は1年以内に死んでしまうため、生息環境への負担も指摘されています。研究機関は、放鳥された鳥の繁殖成功率を高める方法を探しています。

軽度懸念

文化的意義

コウライキジは、古くから狩猟の対象となってきました。ヨーロッパでは、ローマ時代に持ち込まれたとされ、古代ローマの料理書にも、その肉の調理法が記されています。今日でも、狩猟鳥として重要な存在です。

英国などでは、狩猟場で飼育されたキジが、季節ごとに放たれて狩猟されています。飼育や放鳥は、大規模に行われるようになっています。

学名の属名 Phasianus は、黒海に注ぐ川の名前に由来する古代ギリシャ語から来ています。この川の近くで、アルゴナウタイ神話の英雄たちが、この鳥を初めて見たと伝えられています。

豆知識

  1. 種小名の colchicus は、黒海沿岸の国コルキスに由来します。ヨーロッパの人々が、この地域でキジを知ったことにちなんでいます。
  2. オスの羽色には、ほぼ白から黒に近いものまで多くの変異があります。これは、飼育下での繁殖や、雑種化の影響によるものです。
  3. 驚いて飛び立つときには、羽の「ブーン」という音が聞こえます。

写真

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生態と分類

行動

  • 縄張り性
  • 社会性
  • 昼行性
  • 渡り性

食性

  • 雑食性

分類

門
Chordata
綱
Aves
目
Galliformes
科
Phasianidae
属
Phasianus
種
Phasianus colchicus

出典

  1. GBIF Species names and classification
  2. iNaturalist Photos
  3. Wikidata Common names and conservation status
  4. Wikipedia Summary extract
  5. Encyclopedia of Life Habitat, diet and behavior traits
  6. Animal Diversity Web Animal habitat, behavior and diet
  7. AnAge Longevity