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イヌサフラン

Colchicum autumnale

LC軽度懸念
地面から直接伸びた淡紫色の花をつけ、葉がまだ見えない状態のイヌサフランの成株写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

ひと目でわかる

主な特徴
草原草本
分類
門
Tracheophyta
綱
Liliopsida
目
Liliales
科
Colchicaceae
属
Colchicum
種
Colchicum autumnale

花はまず地面から直接顔を出し、その後何か月も経ってから葉が伸びてくるという珍しい生育順序を持つため、英語圏では「裸の男(女)」とも呼ばれています。

イヌサフランはユリ目コルキカム科(Colchicaceae)に属する多年生草本で、姿形は本物のクロッカス(アヤメ科)によく似ていますが、系統的には全く別の植物です。「メドウサフラン」という別名を持ちながら、香辛料のサフランを産するのはアヤメ科のCrocus sativusであり、イヌサフランからサフランは採れません。国際自然保護連合(IUCN)による保全状況は軽度懸念(Least Concern)とされています。

有毒植物として知られる一方、その毒成分は痛風治療薬として医療にも役立てられており、古代ギリシャ神話にまで名前の由来をたどることができる、毒と薬の両面を併せ持つ植物です。

識別と外見

最大の識別点は、花が葉に先立って地面から直接現れることです。開花期には葉がまったく見られず、地表からいきなり花だけが伸び出す姿が本種の際立った特徴となっています。

花は直径4〜7cmほどの単生花で、6枚の花被片を持ちます。雄しべは6本あり、葯はオレンジ色をしています。雌しべの先端には白い花柱が3本あり、受粉が行われる時点では子房はまだ地中に埋まった状態です。

葉は花が咲き終わったのち翌年に伸長し、長さ25cmほどに達します。花期と葉の展開期が大きくずれているため、花だけを見ても葉の特徴は確認できない点が、本種を観察するうえでの注意点です。

分布と生息地

本種はイギリスおよびアイルランドにおいてコルキカム科の中で唯一自生する種であり、各地のカウンティ・ワイルドライフ・トラストによって保護された個体群が知られています。ヨーロッパ大陸ではポルトガルからウクライナにかけて広く分布しています。

スウェーデン、ヨーロッパロシア、ニュージーランドでは帰化植物として定着していると報告されています。生育地は主に低地の草地(牧草地)で、開けた草原環境を好みます。

GBIFに集積された観察記録を月別に見ると、4月から7月にかけて記録数が大きく増加し、特に6月に32,346件とピークを迎えています。ただしこれはあくまで観察活動の集中を示すものであり、実際の個体数や分布の全体像、あるいは本来の開花時期を直接示すものではない点に注意が必要です。

Colchicum autumnaleの観察記録の分布図
記録された場所 · GBIF
32,346
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
月別出現件数 · GBIF

利用と人との関わり

イヌサフランの球根状の器官(コルム)にはコルヒチンという成分が含まれており、治療域が狭い医薬品として痛風や家族性地中海熱の治療に世界各国で承認されています。またコルヒチンは植物育種において倍数体系統を作出する目的でも利用されています。

学名の由来となった「コルキス」は、ギリシャ神話でイアソン率いるアルゴナウタイが金羊毛を求めて旅した黒海沿岸(現在のジョージア)の地名です。この地は毒使いの魔女メデイアの故郷としても語られ、彼女がコルキカム属の植物を毒薬の材料に用いたという伝承が残っています。北米への導入はベンジャミン・フランクリンによるものとされ、今日でもコルヒチンは痛風治療における第一選択薬の一つとして使われ続けています。

豆知識

  1. 学名の由来となった地名「コルキス」は、ギリシャ神話でアルゴナウタイが金羊毛を求めて旅した黒海沿岸の地域(現在のジョージア)を指します。
  2. 魔女メデイアがこの植物を毒薬に用いたという伝承から、ギリシャ神話では「コルキコンのメデイアの破壊的な炎」と表現されています。
  3. 北米への導入はベンジャミン・フランクリンの功績によるものとされています。
  4. 現在でも観賞用としてC. × agrippinumなど他のコルキカム属植物とともに庭園で広く栽培されています。
  5. 有毒植物でありながら、その成分コルヒチンは今日でも痛風治療の第一選択薬として用いられています。

保全状況

  1. LC
  2. NT
  3. VU
  4. EN
  5. CR

軽度懸念

生態

生息地

  • 草原

生育型

  • 草本

写真

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地面から直接伸びた淡紫色の花をつけ、葉がまだ見えない状態のイヌサフランの成株写真: via iNaturalist, licensed under CC0 1.0.、CC0

出典GBIFiNaturalistWikidataWikipedia