Lilium martagon(マルタゴンリリー)は、ポルトガルから東はモンゴルまで、ユーラシア大陸の広い範囲に自生するユリの仲間です。ユリ科ユリ属に属する多年生の球根植物で、単子葉植物綱ユリ目に分類されます。
ヨーロッパから中央アジアにかけての森林や草地に自生し、その分布域の広さがこの種の大きな特徴となっています。
花がトルコ帽(ターバン)のように反り返る独特の形をしていることから「Turk's cap lily(トルコ帽ユリ)」とも呼ばれ、観賞価値の高さから庭園でも古くから親しまれてきました。
識別と外見
最も見分けやすい特徴は、花びらが大きく反り返り、トルコ帽を思わせる独特の形をつくることです。草丈は1メートルから2メートルほどに育ち、茎に沿って根を張る性質(茎生根性)を持っています。
花の色はピンク紫色を基調とし、濃い斑点が入るのが典型的ですが、変異が大きく、ほぼ白色からほぼ黒に近い色まで幅広く見られます。花には香りがあり、生育の良い株では一株に最大50輪もの花をつけることがあります。
茎は緑色ですが、紫や赤みを帯びることもあります。葉は楕円形から倒披針形で、多くは輪生し、長さは最大16センチメートルに達します。葉の裏面には軽く毛が生えていることがあります。
分布と生息地
マルタゴンリリーは、ポルトガルから東はヨーロッパを経てモンゴルに至るまで、ユーラシア大陸に広く分布しています。
観察記録の月別の傾向を見ると、初夏から夏にかけて報告数が大きく増加し、特にその時期に観察数が集中しています。これは開花期に人目につきやすくなることを反映していると考えられますが、この数値はあくまで目撃・記録の有無を示すものであり、個体数や生息密度、分布域全体を正確に表すものではありません。
冬季には観察数が大きく減少しており、これは地上部が枯れて目立たなくなる時期と重なっている可能性があります。

利用と人との関わり
マルタゴンリリーは観賞用植物として古くから庭園で栽培され、真正種として園芸分類の区分に位置づけられています。その美しさから、イギリス王立園芸協会のガーデン・メリット賞を受賞したこともあります。
19世紀末には、イギリス・ヘレフォードのバックハウス夫人によってLilium hansoniiとの交配に用いられ、新たな園芸品種の作出に貢献しました。
文化的には、ヨーロッパの伝承の中でギリシャ神話やローマ神話の女神ヘラやユノと結び付けられ、高貴さや再生、幸運の象徴として語られてきました。
豆知識
- 種小名の「martagon」の語源ははっきりしておらず、オスマン・トルコ語で特別な種類のターバンを指す言葉に由来するという説がありますが、現代のトルコ語にはその語は見当たりません。
- マルタゴンリリーは「忍耐」の象徴として語られることがあり、花言葉的な意味づけがなされてきました。
- 「martagon」という名前自体、由来が曖昧で、ラテン語の人名マルティヌスに関連するという説や、特定の地名や人名に結び付くという説もあります。
写真
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生態と分類
生育型
- 草本
分類
- 門
- Tracheophyta
- 綱
- Liliopsida
- 目
- Liliales
- 科
- Liliaceae
- 属
- Lilium
- 種
- Lilium martagon
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract



