日本では一株が45キログラムを超える大きさに育つことがあり、まさに森の巨人ともいえるキノコがGrifola frondosa(マイタケ)です。老齢のオークやカエデなど大木の根元に群生する多孔菌の一種で、中国、ヨーロッパ、北アメリカに自生しています。
食用としてだけでなく、古くから薬効が語られてきた点でも注目される種であり、その姿と歴史の両面から多くの興味を引くキノコです。
子実体と識別
最も分かりやすい特徴は、地下にある大きな塊状の**菌核(じゃくかく)**から発生する点です。この菌核はジャガイモほどの大きさがあり、そこから多数の子実体が房状にまとまって生え、直径は通常50センチメートルほど、稀に150センチメートルに達することもあります。成熟すると全体が硬くなっていきます。
傘は灰褐色で、しばしば巻き上がったりへら状になったりし、縁は波打ちます。傘一枚の大きさは2〜10センチメートルほどです。傘の裏側には管孔があり、1ミリメートルあたり1〜3個の孔が並びますが、管の深さは3ミリメートルを超えることはほとんどありません。柄はクリーム色で枝分かれした構造を持ち、胞子紋は白色です。
よく似た食用種として、傷つけると黒く変色するMeripilus sumstinei(黒く変色するキノコ)、Sparassis spathulata、そして「チキン・オブ・ザ・ウッズ」とも呼ばれる硫黄色のLaetiporus sulphureusが挙げられます。丸みのある傘を持つPolyporus umbellatusも近縁として区別されます。いずれも毒性のある種ではありませんが、外見が似ているため同定には注意が必要です。
分布と生息地
Grifola frondosaは中国、ヨーロッパ、北アメリカ東部に自生する種です。ヨーロッパでは8月から10月、北アメリカ東部では9月から10月にかけて発生が確認されています。北アメリカでは東部で最も豊富に見られますが、西はアイダホ州まで分布が広がっていることが知られています。
この種は多年生の性質を持ち、同じ場所で数年にわたって繰り返し発生することが特徴です。老齢のオークやカエデなど大木の根元という特定の環境に強く結びついた生活を送っています。
観察記録の月別集計では9月から10月にかけて件数が大きく増加し、10月には1万3千件を超える記録が見られます。これはあくまで観察された記録の集積であり、個体数や分布の全体像を示すものではありませんが、秋の一時期に発生が集中する傾向をうかがわせます。

利用と文化史
和名の「舞茸」は、見つけた人があまりの珍しさと価値の高さに喜んで踊ったという伝承に由来するといわれています。北アメリカでは「hen-of-the-woods(森の雌鶏)」や「sheep's head(羊の頭)」、イタリア系アメリカ人の間では「signorina」という呼び名でも知られ、地域ごとに異なる愛称で親しまれてきました。
中国と日本では何世紀にもわたり食用キノコとして利用され、主要な食用菌のひとつとされています。日本料理では鍋物など多くの料理に用いられ、特に若い傘の部分をじっくり加熱調理したものが上質とされます。柔らかい傘の部分は必ず十分に加熱する必要があり、漬物として加工されることもあります。
中国伝統医学では重要な生薬のひとつとされ、主成分である多糖類の薬理作用が長年注目されてきました。2009年の研究では、この種から抽出された硫酸化多糖が乳がんサバイバーに対する免疫調節作用を示す可能性が報告されていますが、2019年時点で質の高い第III相臨床試験は完了していません。研究者は、この植物由来成分が最適な臨床効果を生み出すとは限らないと指摘しています。
豆知識
- 和名「舞茸」は、見つけた人が喜んで踊ったという言い伝えに由来し、英語圏では「dancing mushroom」と表現されることもあります。
- 北アメリカの採集者は「hen-of-the-woods」や「sheep's head」と呼び、イタリア系アメリカ人の間では「signorina」という愛称でも知られています。
- 中国と日本では長年にわたり伝統医学の生薬として扱われ、主成分の多糖類が持つ薬理作用が古くから関心を集めてきました。
生態
生息地
- 森林
- 林地



