アメリカヤマナラシは、北米の冷涼な地域に広がる落葉高木です。樹高は最大25メートルに達し、なめらかで淡い色の樹皮には黒い傷跡が並びます。秋になると、つややかな緑の葉が黄金色から黄色に色づきます。
英名の「quaking」や「trembling」が示すように、葉は風のわずかな動きにも敏感に震えます。この特徴は、北米の人々や各地の文化で多くの言い伝えを生みました。
地域によって、「ポプラ」や「白いポプラ」など、多くの呼び名で親しまれています。同じ仲間の樹木でも気候や環境によって姿が変わるため、比べて見るのも面白い樹木です。
識別と外見
成木の葉はほぼ丸く、直径は4〜6センチメートルです。葉の表は緑色、裏は灰色がかり、長く平たい葉柄によって風に揺れやすくなっています。
一般的な成木の高さは15〜18メートルほどで、幹の直径は25センチメートル程度です。記録されたもっとも大きな木は、高さ36.5メートル、直径1.37メートルに達しました。
樹皮は比較的なめらかで白っぽく、若い木では淡い緑色を帯びます。太い黒い横すじの傷跡と目立つ黒い節が特徴です。ヘラジカが前歯で樹皮を剥がすと、縦に並んだ平行な傷跡が残るため、ヘラジカが生息していることの手がかりにもなります。
若い木や根から出た新芽の葉は、10〜20センチメートルほどの大きさで、ほぼ三角形をしています。
分布と生息地
アメリカヤマナラシは、カナダのすべての州と準州に分布し、アメリカ合衆国ではアラスカ北部のブルックス山脈の北麓まで広がります。南はネブラスカ州北部やインディアナ州中部の低地にも見られ、メキシコでは中部のグアナフアト州まで分布しています。
気候の幅は非常に広く、アラスカ内陸部の年降水量は約180ミリメートルしかありませんが、ニューファンドランド・ラブラドール州のガンダーでは1,020ミリメートルに達します。分布の南限は、7月の平均気温が24°C程度の等温線にほぼ沿っています。水が余る地域に分布し、夏の高温で成長や寿命が制限される地域では、南に行くほど姿を消していきます。
山地では標高によって分布が変わります。コロラド州とワイオミング州南部では、標高2,100〜3,350メートルの比較的狭い帯状の地域に生えます。アメリカ西部では、標高1,500メートルより低い場所では夏が暑すぎて生き残りにくく、多くは1,500〜3,700メートルの高地で見られます。
セージブラシの草原では、チョークチェリーやサービスベリー、サンザシなどと混ざり合って生え、多くの動物の生息場所となります。

生態と関わり
アメリカヤマナラシは、主に根から出る芽で増えていきます。同じ根系を共有する木々は、同じ特徴をもつ一つのクローンで、大きな群落をつくります。
芽や樹皮は、雪ウサギ、ヘラジカ、クロクマ、ヤマアラシ、シカなどの食べ物になります。若い芽はヒツジやヤギ、ウシにも食べられ、冬にはライチョウの仲間が芽を好んで食べます。ビーバーは樹皮や葉を食べるほか、冬の食料として丸太を蓄えます。葉は多くのガやチョウの幼虫の食草にもなり、大きなヤマナラシハマキなどの害虫の宿主にもなります。
1990年代初めから北米各地で枯死の増加が報告されており、森林テント毛虫、材に穴をあけるカミキリムシ類、菌による病気などが原因として挙げられています。アメリカ西部では、家畜やシカなどによる食害と山火事の抑制が枯死の増加と結びつけられています。根は火災の熱から守られやすく、地上部が焼けても新しい芽を出して再生します。
利用と人との関わり
アメリカヤマナラシの樹皮には、先住民や北米西部に入植したヨーロッパ人がキニーネの代用として利用した成分が含まれていました。
木材としては、燃料には不向きです。乾くのに時間がかかり、腐りやすく、あまり熱を出さないためです。一方で、パルプ原料として重要で、本、新聞用紙、印刷用紙などに使われます。軽くて加工しやすいため、オリエンテッドストランドボードやウェハーボードなどの板材、家具、箱、合板の芯材にも使われます。
ユタ州では、アメリカヤマナラシが州の木に指定されています。
豆知識
- ケルトの人々の間では、葉がこすれ合う音はあの世からの声だと考えられていました。
- ケルトの文化では、アスペンの盾が体と心の両方を守ると考えられていたとする説もあります。
- ラテン語の古い名称には、「震えるポプラ」という意味があり、葉の動きを表しています。
写真
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生態と分類
分類
- 門
- Tracheophyta
- 綱
- Magnoliopsida
- 目
- Malpighiales
- 科
- Salicaceae
- 属
- Populus
- 種
- Populus tremuloides
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- Encyclopedia of Life Habitat, diet and behavior traits



