ミヤマキンポウゲは、ユーラシア原産の草本でありながら、今では世界各地に広がり、周極域に分布するほどになりました。
キンポウゲ科の多年草で、ヨーロッパや温帯ユーラシアでもっとも普通に見られるキンポウゲの一つです。草地、川岸、路傍など、人の手が入った明るい場所によく生えます。
花の美しさだけでなく、家畜への毒性、牧草地での厄介な雑草としての性質、そして花にまつわる古くからの伝承があり、読み応えのある植物です。
識別と外見
最も目立つ特徴は、光沢のある黄色い花です。花は直径25 mmほどで、5枚の重なり合う花びらを持ちます。花の下には5枚のがくがあり、花が成熟すると黄色く変わります。
草丈は30〜100 cmほどになります。茎には溝がなく、ほぼ直立します。雄しべは多数あり、子房より下に付いています。
葉は複葉で、細かく切れ込み、毛が生えています。よく似たRanunculus repensとは、先端の小葉に柄がない点で区別できます。
珍しい秋咲きのRanunculus aestivalisは、本種の変種として扱われることがあります。
分布と生息地
ミヤマキンポウゲは、原産地はユーラシアですが、人為的に持ち込まれて各地に広まり、現在は周極域にまで分布しています。
北アメリカでは帰化植物として雑草になっている地域が多く、アラスカやグリーンランドでは自生と考えられています。
生育環境は草地、川岸、路傍、古い畑跡などで、標高は0〜2,300 mまで見られます。
観察される時期は5月から6月に集中する傾向があり、一年のうちで最も目にする機会が多い季節です。

生態と関わり
本種は、刈り取りや放牧が行われる中性の草地に特徴的に生えます。排水条件が中間的な場所を好み、乾いた土壌を好むRanunculus bulbosusと、湿った土壌を好むRanunculus repensの間に生育する傾向があります。
本種の多さは、草地が古く、長く続いてきたことを示す指標になると言われています。一方で、丈の高いイネ科植物が優占する種の多い群落では、競争に強くありません。
冬は小さく緑色の葉をロゼット状につけて越冬します。花芽は前年の夏の終わりから形成が始まり、冬の低温によって花芽の発達が促されます。種子のほか、短く太った根茎が分かれて新しい株になります。
利用と人との関わり
植物全体の油に、配糖体のラナンクリンが含まれています。ラナンクリンを口にすると腹痛や腸の不調を起こします。家畜が食べると、舌や唇に水ぶくれができ、下痢や失明を起こすこともあります。重い場合は心室細動や呼吸不全に至ります。
園芸の世界では、芝生や小道に広がる厄介な雑草とされます。一方、野草の花畑では好まれる植物でもあります。八重咲きの品種Ranunculus acris 'Flore Pleno'は、英国王立園芸協会のガーデン・メリット賞を受けています。
文化的には、中世のヨーロッパで、人を操る物乞いと結びつけられ、恩知らずの象徴とされました。中東の詩では、輝くような美しさや繊細な魅力を表す花として描かれています。
豆知識
- イングランドの一部地域では、花の匂いが狂気を引き起こすと信じられ、この花は狂人を意味する呼び名で呼ばれていました。
- 逆に、花を袋に入れて首から下げ、狂気を治すために使われたという伝承もあります。
写真
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生態と分類
分類
- 門
- Tracheophyta
- 綱
- Magnoliopsida
- 目
- Ranunculales
- 科
- Ranunculaceae
- 属
- Ranunculus
- 種
- Ranunculus acris
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- Encyclopedia of Life Habitat, diet and behavior traits



