ツマアカスズメバチは、東南アジアを原産とするスズメバチの仲間です。黄色い脚が目印で、体は働きバチで約20 mm、女王バチで約30 mm ほどの大きさがあります。
このハチは原産地の外へ広がり、ヨーロッパの多くの国で侵略的外来種として問題になっています。日本でも、対馬では2010年頃から定着しているとされています。
原産地の熱帯地域から、フランスやスペインなどヨーロッパ各地、さらにアメリカ合衆国まで分布を広げた経緯は、外来種の拡散を考えるうえで参考になります。
識別と外見
ツマアカスズメバチを見分ける最も役立つ特徴は、脚の先端(跗節)が鮮やかな黄色であることです。
大きさは、女王バチが約30 mm、オスが約24 mm、働きバチが約20 mm です。同じ地域にいるヨーロッパスズメバチよりかなり小型です。
胸部はビロード状の褐色か黒色で、腹部は褐色です。各節の後縁には細い黄色の帯があり、4番目の節だけはオレンジ色です。頭部は黒く、顔は黄色です。
地域によって体の色には差があり、以前は亜種名がいくつも提案されましたが、現在は分類上の正式な名前としては扱われていません。ヨーロッパで懸念されている色の型は、かつて nigrithorax と呼ばれていましたが、この名前も現在は分類上の地位を失っています。
分布と生息地
ツマアカスズメバチの原産地は東南アジアで、北インド、パキスタン、アフガニスタン、ブータン、中国、台湾、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、マレーシアなど、熱帯地域の広い範囲に分布しています。
ヨーロッパでは、2004年に中国から陶器の箱に紛れて持ち込まれたとみられています。フランスでは2009年までにボルドー周辺で数千の巣が見つかり、2015年末にはフランスのほぼ全域で確認されました。
スペインでは2010年に繁殖コロニーが確認され、ポルトガルでは2011年、ベルギー南部でも2011年に初めて見つかりました。イタリアでは2012年にリグリア州で確認され、北西部の地域では定着が進んでいます。ドイツでは2014年に初めて確認され、2021年から2022年にかけて個体数が3倍になりました。
イギリス本土では2016年に、グロスターシャー州のテットベリー付近で初めて確認されました。アメリカ合衆国では2023年8月にジョージア州サバンナ付近で生きた個体が確認され、その後サウスカロライナ州でも見つかっています。

狩りと食性
ツマアカスズメバチは、ほかの昆虫を捕らえて食べる捕食性のスズメバチです。獲物を探して捕らえ、その体を食べ物として利用します。
獲物の中心はハエ目の昆虫で、なかでも Calliphora vicina や Chrysomya albiceps などの種が主な獲物として知られています。ハナアブ科の Chrysotoxum 属の仲間も、よく獲物になります。
ハチ目の昆虫も主要な獲物の一つです。チョウ目、コウチュウ目、ゴキブリ目、クモ目、カメムシ目の昆虫も含まれますが、これらは少数です。
保全と脅威
ツマアカスズメバチは、ヨーロッパ連合の侵略的外来種リストに2016年から掲載されています。このため、欧州連合の中では、意図的に輸入すること、飼育や繁殖をすること、売買すること、環境へ放すことなどが禁止されています。
このハチは人にも危険を及ぼします。巣が脅かされると集団で襲いかかるため、巣に近づいた人が多数刺される事故が起きています。フランスでは多数回刺されてアナフィラキシーショックを起こし、入院した人がいます。2017年にはスペインのガリシア州で、リンゴの木の剪定中に20回以上刺された男性が死亡しました。フランス南西部でも、死亡例が複数報告されています。
分布の拡大も続いています。2025年末までに、アメリカ合衆国の州内で約8,000 km²の範囲に巣が見つかりました。遺伝子の検査では、アメリカで見つかったハチは、ヨーロッパで広がった個体群ではなく、アジアの個体群に由来することがわかっています。温暖化は、北ヨーロッパや米国での定着を高める可能性があります。
対策の中心は巣を見つけて破壊することです。まだ定着していない地域では、餌のトラップを置いて飛び方向と時刻を調べます。小型のGPS発信機やAIカメラを使って巣の場所を絞り込み、見つけた巣は目視で探して破壊します。
写真
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生態と分類
行動
- 捕食者
食性
- 食虫性
分類
- 門
- Arthropoda
- 綱
- Insecta
- 目
- Hymenoptera
- 科
- Vespidae
- 属
- Vespa
- 種
- Vespa velutina
出典
- GBIF Species names and classification
- iNaturalist Photos
- Wikidata Common names and conservation status
- Wikipedia Summary extract
- GloBI What it eats, what eats it, parasites and pollinators
- trophiCH
- DoPI
- EuPPollNet



